風営法の「接待行為」とは?接待行為と接客の違いがわかる!

飲食店を経営している、あるいはこれから開業しようという場合、気になるのが

「うちのお店は法律を守っているのか」

ですよね。

 

あるいは

「守れるのだろうか?」

かもしれません。

 

当たり前ですが営業をするからには長く続けたいと思うのが普通ですし、しかも安全安心で運営したい。

これが本音だと思います。

 

飲食店回りの法律で押さえておくのは「食品衛生法」と「風営法」、この二つが本丸です。

 

食品衛生法と風営法は営業開始後も付きまとう問題だし、特に風営法は営業内容に深く入り込んだ法律になります。

その風営法の中でもずばり「接待行為」は最重要キーワードです。

(なお、接待行為風営法上では現在、単純に接待と呼ばれていますので、ここからが接待で統一をします)

 

最近ですと「接待を伴う飲食店」などの言葉もよく聞きますよね。

この記事をお読みいただくことで、何が「接待」なのか、接客とは何が違うのかがすべてわかります。

できる限り丁寧に、かみ砕いて解説しますので、ぜひ最後までお付き合いください。

もちろん、最後までお読みいただいても何の売り込みもありません。安心して読み進めてください。

 

なお、接待の定義については

接待行為の定義とは?風営法の超アバウトな理屈を解説

をご参考ください。

 

「接待」は風営法解釈運用基準に記載がある

最初に押さえておきたいのが風営法上の「接待」は決まりのない不文律の様なものかと言われればそうではないということです。

風営法は何段階かに構成されていて、接待とは何なのかは解釈運用基準にはっきりと記載されています。

 

この第4に

・談笑、お酌など

・ショーなど

・歌唱など

・ダンスなど

・遊戯など

・そのほか(スキンシップやあーんしてお客に食べさせる行為)

 

の6項目が該当すると明記されています。

 

ただしこれではわかりづらいし、イメージしづらいのが本音でしょう。

これをかみ砕くことにしましょう。

 

風営法解釈運用基準はこちらをご覧ください(警察庁HP保安通達)→

 

なお、解釈運用基準が通達という形を取っているのには理由があります。

風営法は法律なので国会の議決が必要になりますが、これではナイトビジネスの移り変わりに柔軟に対応することはできません。

それであればより柔軟に解釈を変更できるように法律が通達に委任をしているのです。

 

接待をするお店は「接待飲食店」

「接待」というとおそらく多くの方はお客同士で接待をすることを想像すると思います。

ビジネスでは当たり前のようにされていますが、これはお客同士なのでなんの問題もありません。

 

風営法上の「接待」と、一般論でいう「接待」は全くの別物ですので理解しておきましょう。

 

では、風営法上の接待を見てみましょう。

 

本当にざっくりいえば風営法の接待は

・お酌や談笑

・カラオケのデュエット

・スキンシップ

・ゲーム

・カラオケの褒めはやし

などが該当します。これを飲食店内でやるのは禁止されているということです。

 

禁止といっても、お客同士でやる分には全く問題ありません。

問題は「お店」つまりキャストが「お客」にすること、あるいは一緒にすることが「接待」になります。

 

そして、この接待行為をするお店は「接待飲食店」もしくは「社交飲食店」とよばれています。

接待飲食店と一般的な飲食店とはまた別の区分のお店だと警察署は判断しているのです。

 

あなたのお店が例えばガールズバーやスナックで、これらの行為があるのであれば、接待飲食店である可能性が高いです。

 

風営法上の「接待」とは?

では、ここまでが理解できたうえで接待と接客の違いを検討してみましょう。

 

風営法上の接待は風営法2条3項に

「この法律において「接待」とは、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことをいう。」

と記載されています。

 

普通はこんなことを言われてもわからないし、なんか難しいことを言っているなあと思うものでしょう。

これは反対意見もあると思いますが、要するに放っておけば人が堕落するような雰囲気全般といっていいかもしれません。

 

では放っておけばひとが堕落する雰囲気とは何でしょうか?

いろいろありますが過去の摘発事例を検討すれば

・スケベ心

・色恋

これをどれだけビジネスに生かすのか、これが接待の本質だととらえてほぼ間違いないでしょう。

 

(ギャンブル精神、つまり射幸心も人を堕落させますが、これはゲームセンターの許可での概念になりますので今回は省きます。)

 

例えば同じバーであっても

①のお店はバーテンさんは男女が混じり、しっかりと訓練されている。お客はバーテンの作る美味しいカクテルを飲みに来る

②のお店はキャストさんは全員女性でカクテルは作れない。お客はキャストさんとの楽しい会話や出会いを期待して来店する

 

この場合、①のお店に色恋やスケベ心を抱くお客はそうはいません。

その店員さんが魅力的で結果として恋心を抱くお客はいるかもしれません。

しかしお店が積極的に色恋を出しているかと言われればそれは見ればわかります。

 

逆に②のお店は女性キャストがいなければお客は来ないし、来店する理由がありません。

当たり前でしょう。お客はスケベ心や色恋をくすぐられるから来店するのです。

これが風営法上の「接待」です。

 

法律的にはもっと他の表現がありますが、おおむねこのようにとらえて問題ないでしょう。

国会議員が自粛ムードのさなかに銀座のクラブに出没し、これが世間を騒がせました。

あの国会議員たちがなぜそんな世間的なリスクを冒してまでお店に来店したのでしょうか?

もちろんリスクを感じないほど間抜けだった可能性も高いです。

しかし根底には「あわよくば」というスケベ心があったから来店したのでしょう。

だから世間はこのニュースを見てその国会議員に冷たい視線を送ったのです。

 

「接待」と「接客」の違い

では、ここまでで風営法上の「接待」がわかったところで「接客」との違いを検討してみましょう。

 

普通接客は

・お客が来店したら席に案内する

・注文を取る

・料理や飲み物を提供する

・会計をする

・お見送りをする

いいとここれくらいでしょう。これが接客です。

もちろんこんな丁寧にやらないところも多いし、高級料理店ではもっと丁寧にするところも多いです。

 

では、この行為に色恋やスケベ心を感じる人はどれだけいるでしょうか?

もちろん中にはモデルみたいな人をそろえたカフェもあるし、こうなるとスタッフに恋心を抱くお客もいるかもしれません。

しかしこれは恋心というよりもあこがれであって、少なくとも積極的に色恋やスケベ心をビジネスに生かしているわけではありません。

 

中にはファミレスの制服にスケベ心を抱く人もいるかもしれませんが、これはかなりのマニアです。

 

では「接待」はどうでしょうか?

・お客が来店したら席に案内する

・注文を取る

・料理や飲み物を提供する

・お客とキャストとの楽しい会話

・会計をする

・お見送りをする

ピンクの部分がなければお客は来店しません。

当たり前でしょう。なんでピンクの部分がないのにわざわざ高い金を払うのか訳が分からないのが普通です。

 

これが接待なのです。

 

 

どこからが接待行為になるの?

では、もう一度接待の具体例をあげましょう。

 

・お酌や談笑

・カラオケのデュエット

・スキンシップ

・ゲーム

・カラオケの褒めはやし

 

これを読んでギクッとした人は多いと思います。

 

「お酌をするなんて、どこのお店もやってるよ」

「カラオケのデュエットは、お客からせがまれてどうしてもやらないといけない」

 

こういうこともあると思います。

 

また、

「あそこのお店は接待行為をしているけど、もう何十年も摘発もされていない」

こういうケースもあると思います。

 

実際に僕の事務所のお客様も同じようなケースで不公平感を感じることも多いようです。

 

これは経験上の話ですが、特に若い男女の性の部分を強調する場合、摘発や逮捕が多いように感じます。

 

色恋やスケベ心をくすぐるような形態は摘発される可能性が高いし、

しかもキャストさんが若ければ若いほどその可能性は高まると思います。

 

・キャストさんの服装に露出が多い

・キャストさんが全員若い女性(あるいは男性)

・スキンシップが激しい

・何となく口説けそう、口説かれそう

 

こういう場合は目立つし、

同じことをやっているように見えてもほかのお店に比べて摘発の可能性は高いように感じます。

 

もちろんこれらは経験上の話でケースバイケースです。

これは風営法の目的が青少年の保護にあるため、若年層の場合は目に留まりやすいということも挙げられると思います。

 

どうですか?不平等だと思いませんか?

ですが、おそらくあなたもなんとなく思い当たることはあるはずです。

 

警察は「あそこなら摘発されても仕方ない」お店を摘発する

では、同じことをやっていても摘発をされるお店とされないお店があって、これが不平等だと嘆いても何もはじまりません。

ここは警察署の身になって想像力を働かせましょう。

 

警察が摘発をするとたいていネットニュースなどで

「違法ガールズバー摘発」

などの見出しが躍ることになります。

 

ではこの見出しが

「親子でひっそりやっていた割烹惣菜屋が摘発!」

となったとしましょう。

 

そのお店はお母さんと娘さんの二人で割烹惣菜のお店をやっていたのですが、

お母さんのサービス精神でお客とよく飲んでいて、これが摘発をされたとします。

 

確かにこの場合はお母さんのやっていることは接待行為なので摘発を受けても文句は言えません。

 

しかしこれだと

「なんでほかにも摘発しないといけないお店があるのにわざわざこんなお店を狙い撃ちするの?」

という声があがるのは想像に易いですよね。

 

警察署はやるときは世間がなんと言おうとやる組織です。

そのため例えば何度も指導をしたのに無視をして無許可営業をしている場合は

かりにそのお店に社会的批判性が少なくてもやることはあります。

 

しかし、そうでない場合の政策的、いわゆる「見せしめ的」な摘発についてはそんな下手はうちません。

 

ということは、

「あそこは摘発を受けても仕方がないな」

と思われるお店の方が狙われやすいのはその通りでしょう。

 

 

「お客にせがまれた」は言い訳にならない

「カラオケのデュエットをお客にせがまれて断れない」

こういう場合ももちろんありますよね?

 

しかし、厳しいようですが、風俗営業許可を取っていないのであればお店としてこれは断らなければなりません。

そこでお客にすごまれても毅然と断る姿勢は準備をしておきましょう。

 

多くの風営法違反で摘発をされたおみせも最初は法律を守っていることがほとんどです。

 

しかし、お客のせがまれてやむなく接待行為をすると、次回以降もしないと

「この前はやってくれたじゃないか」

と言われて結局常態化をするのがこの世界の常識です。

 

仮に警察署の立ち入りがあって指導が入ったとしても

「お客にせがまれて仕方なくやった」

は警察署の担当には決して通用しません。しっかりとおさえておきましょう。

 

 

色恋、スケベ心は警察署を奮い立たせる

これは経験上の話なので当たっているかはわかりません。

接待行為が警察署に知られても、摘発されるお店とされないお店があるのはご存じのとおりです。

 

では、何がちがうのか?

 

結局色恋やスケベ心をどれだけくすぐっているのか?

これで警察署の対応が変わってくるのは否定のできない事実だと僕は考えています。

 

たとえば、同じような接客をするガールズバーが近所に2件あったとします。

 

そのうちの一つは露出の多い服を着て、キャストさん全員がミニスカのお店だとします。

そしてもう一つはスーツ系のお店で、キャストさん全員きちんとスーツを着ているとします。

 

ではどちらを警察は摘発の対象にするでしょうか?

当たり前ですがミニスカのガールズバーですよね。

 

この辺りは不平等だと思う人もいるかもしれませんが、納得できる人も多いと思います。

 

カウンター越しの接客はどうなの?

動画では触れていなかったのですが、

「お客と一緒に座るとNGだけど、カウンター越しはOK」

という話がありますが、あれはずいぶん昔の話です。

 

というのも、むかし、とある自治体でキャバクラが一斉に摘発をされました。

キャバクラなのに朝まで営業していたので、これが風営法上の時間外営業に引っかかったのです。

 

そこでなんとか朝まで営業できる業態を考え抜いた営業者さんがいました。

その営業者さんはカウンター越しのガールズバーを考え出します。

すると警察署はこれまでにない業態だからなかなか手を出しにくかった時期があったのです。

 

警察署は行政だから摘発とか逮捕に関しては前例主義をとります。

だからあまり新しいスタイルの飲食店に摘発をするのは避けたいんですね。

 

ところが現在はカウンター越しでも普通に摘発が行われているし、その経験も警察署に蓄積されています。

そのため現在はカウンター越しでもそうでないかったとしても、接待行為に該当するときはするし、しないときはしないとするのが一般的な判断です。

 

具体的な解決方法は?

ここまで読むと、これらの接待行為(お酌、談笑、デュエット、スキンシップなど)をしたいとなりますよね。

あるいはする必要がある場合もあると思います。

 

そうであれば、風俗営業許可を取得することで、接待行為はできるようになります。

「なんだ、じゃあ許可さえとればいいんじゃないか」と思ったと思いますが、待ってください。

というのも、この風俗営業許可

許可までにおおむね2か月かかるのと、

許可が取れるお店と取れないお店がある

という最大のネックがあるのです。

 

だから風営法違反のお店はなくならないし、いつの時代にも違法営業のお店はニュースになるのです。

 

最適な方法は?

許可が出るまでに2か月かかるなんて、普通は嫌ですよね?

2か月の間、から人件費、から家賃が発生するので、普通は嫌だと思うのが人情だと思います。

もちろん、その間の自分の生活費だって馬鹿にはなりません。

じゃあどうすればいいのかは、最適なものはやっぱり開業前にしっかり計画を立てて、実行する。

これに尽きると思います。

 

・賃貸借契約の前に開業までのあいだのシミュレーションをたてる

・申請期間中(許可までの間の期間)の費用を用立てておく

・許可の取れる物件を借りる

・許可までの期間は別のお店で働くなど、生活の基盤を崩さない

 

これらがあらかじめ出来たら最高ですよね。

 

逆に、良くないのは

・何の予定も立てずに賃貸借契約だけしてしまう

・申請期間中の費用を考えていない

・無計画に求人広告を出してしまう

・無計画にキャストさんを雇ってしまう

これらは悪いパターンですが、最悪な場合、つじつま合わせで許可になっていないのに営業をしてしまうこともあります。

するとどこかで警察にバレてしまい、許可になる前に指導が入ったり、あるいは風営法違反で処罰をされることになります。

 

こんなの嫌ですよね。

 

 

まとめ

接待行為は、

・お酌や談笑

・カラオケのデュエット

・スキンシップ

・カラオケの褒めはやし

の行為のことで、もちろんほかにもありますがおおむねこれらのことを飲食店内でする場合には許可が必要だということ。

そして、その許可とは風俗営業許可のことで、許可を取るためには

・おおむね2か月ほどの期間が必要だということ

・許可が取れるお店とそうでないお店があること

 

これさえ理解しておけばなんとななりますし、最悪なケースを避けることができます。

ご参考になれば幸いです。


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