2021年6月にユーチューバーとしても活躍をする桜井野の花さんが再逮捕をされました。
逮捕時は新宿歌舞伎町のキャバクラの「時間外営業」がその理由でした。
しかし再逮捕の際は「無許可営業」とのことですので、ここからわかることは何かを解説をします。
結論から言えばこれは風営法上の「名義貸し」の違反です。
本人名義では許可を受けずに他人の許可で営業していたため、結果として「無許可営業」となったのでしょう。
このページでは摘発の続いた風営法の名義貸しについて解説しています。
法律の解説になるためどうしても手堅く表現することが多くなり、読む人によっては不必要なご心配をされることも想像ができます。
東京都全域で風営法の名義貸しの店舗の許可取得、あるいは名義変更などでお悩みの場合は
実態も踏まえまして柔軟に対応をさせていただきます。まずは当事務所ご相談ください。
今回は風営法上の名義貸しを解説します。
ナイトビジネスにおいてはかなり重要なテーマだと思いますので、できればしっかりと理解をしてください。
風営法においては接待行為、営業時間、名義貸しが最も重要なポイントになります。
合わせて
Contents
風営法の名義貸しとは?
風営法の条文を確認
風営法の11条には
(名義貸しの禁止)
第十一条 第三条第一項の許可を受けた者は、自己の名義をもつて、他人に風俗営業を営ませてはならない。
とはっきりと禁止をしています。
11条では許可を受けたひとが、他人に営業をさせてはいけない、つまり名義を貸してはいけないことを定めています。
これは例えば
Aさんはキャバクラを営業したいけど、自分で許可を取るのはなんとなく抵抗がある
そこでBさんに「5万円あげるから許可とってよ」と相談をします。
Bさんはお金が欲しいので許可を取り、自分はお店には一茶関与しない。
こうなるとイメージしやすいのではないでしょうか。
つまり金銭で他人に許可を取ってもらい、自身が経営者となるということです。
共同経営者なのに名義貸し?
よく聞かれるのですが、
「許可名義人は共同経営者なのに名義貸しになるの?」
という疑問もあると思います。
桜井さんの件であれば逮捕された従業員も共同経営者なんだから名義貸しには該当しない、ということから起こる疑問でしょう。
不思議に思って当然だと思います。
ただし風営法の専門家の視点で回答をすると、ずいぶんと無機質な説明となってしまいます。
僕は風営法の解説で、
「最終的に判断するのは本人ではなくて第三者、つまり警察です」
と説明することが多いのですが、これは分かりやすく説明しているためで若干語弊があります。
名義貸しの場合、最終的にこの案件が名義貸しになるかどうかを判断するのは裁判所です。
しかし裁判所が判断する場合は警察署の判断(行政処分)に不服があり、
本人が行政側を相手取って訴訟をした場合です。
つまり
「名義貸しで逮捕されたひとも経営者なんだから名義貸しではない」
と公安委員会を相手に戦うわけですが、この訴訟を起こすか起こさないかは本人が決めることです。
そのため、警察署の一時的な判断では名義貸しで、
本当に不服であれば行政訴訟を起こしましょうとしか言えることはありません。
具体的な名義貸しのパターン
名義貸しはナイトビジネスではよくあることです。
もちろんいけないことなのですが、お店を複数人で経営していて、そのうちの一番発言力のない人が許可名義人になる場合もあって、この場合は名義貸しとは一概に言い切れないパターンでしょう。
ただし次のパターンは結構ヤバいので該当する場合はできる限り早く修正しましょう。
・許可名義人のひとが夜逃げしてどこにいるかわからない
・お店の経営にまったく関与していない人が名義人になっている
・お店の従業員ではあるけど、いつ飛んでもわからないような人に名義を取らせている
・お金を払って他人に許可を取ってもらった
これらは遅かれ早かれいつかはバレますし、トラブルのもとですので必ず経営者が許可を取得するようにしましょう。
なぜ名義を貸してはいけないのか?
では、ここでやや教科書的なことになりますが、
「なぜ名義貸しはいけないのか」を検討してみましょう。
考えれば当たり前のことではありますが、例えば代理受験なんかを考えると
「そりゃ他人が許可とっちゃだめだよな」
というのはわかりやすいでしょう。
試験を受けたのはAさんなのに入学したのはBさんだったなんてシャレになりません。
許可を受けるためには様々な要件があって、それをクリアーしないといけません。
にもかかわらず代わりのひとに許可を取られてしまうと、それらの要件を定めた意味がなくなってしまいます。
また、風俗営業許可には欠格事由という制度があります。
この欠格事由は「こういう人は風俗営業許可はとれない」という決まりです。
例えば風営法違反で過去に処罰を受けた人は、何年間は風俗営業許可は取れないなどのことです。
これは一定期間のペナルティを定めて反省を促そうというものです。
この制度があるにもかかわらず他人の許可で営業されればこの意味がなくなってしまいますよね。
だから名義貸しは禁止をされているのです。
どのような場合に名義貸しをするのか?
では、このように風営法には名義貸しという違反があることがわかりましたが、ではなぜ法律違反をしてまで名義貸しをする人がいるのでしょうか。
もちろんいろいろなパターンがありますが、まずは本人が許可を取りたくないパターンです。
許可を取ることで許可名義人になります。
こうなるといろいろな手続きがあり、違反がみつかれば警察に呼び出されることも当然想像できます。
これが面倒だ、やりたくないなどの理由で名義貸し(名義借り)をしてしまうというものです。
今回のさくらいののかさんもこの手のことを話していたという記事がありました。
そしてもう一つのパターンがサイドビジネスのパターンです。
これは別事業で成功した経営者が自身の社交場が欲しいということでキャバクラやスナックを開業するパターンが多いです。
またはがっつり経営したいという人も多いです。
この場合に、自身が許可名義人になってしまうと、何らかの違反で摘発・逮捕を受けると自身の本業に影響してしますので名義貸し(名義借り)をしてしまうということです。
名義を貸す側のメリット
ここまでは名義を借りて営業するパターンを紹介しましたが、では名義を貸す側のパターンはどうでしょうか。
これは金銭的なメリットがもっとも大きいでしょう。
例えば「代わりに許可取ってくれれば5万円あげる」などのわかりやすい構図です。
これ以外にも毎月1万円あげるなどと言われれば悪い気はしない人は多いかもしれません。
また、例えばスナックのママさんに惚れてしまい、ママさんに頼まれて断れずに許可を取ることもあるかもしれません。
また過去にその人に負い目や恩義があって、断れずに名義貸しをしてしまうこともあるでしょう。
ただし、これらのパターンでは何らかのトラブルが起こるのは目に見えています。
その時はまあいいやと思っていても、日がたつと法律違反をしていることに我慢ができなくなって本人に許可を取ってくれとなったり、
途中で人間関係が悪化して「これじゃやってられない」となることもあり得ます。
いずれにせよ名義を貸した側は相当のストレスがあることは知っておきましょう。
名義貸しはばれにくい?
では、ここまでで名義貸しの全体像と具体例を解説しましたが、実際に「名義貸し」で摘発・逮捕というニュースはほとんど聞かないのはなぜでしょうか。
ニュースで「違法ガールズバー摘発」「違法キャバクラ摘発」などはありますが、
これらはほとんどが無許可営業か時間外営業です。
名義貸しはお店の内部の人でもわからないことが多いです。
キャストさんや内勤さんであっても、
そのお店の出資がだれで
売上は最終的にだれが管理して
誰が許可名義人になっている
かは知らないことがほとんどですよね。
お店の人でもわからないのに警察が外見だけで名義貸しを見抜けるかどうかはかなり怪しいです。
摘発をするからにはそれなりの証拠が必要ですし、万が一誤認ということになると警察の信頼を損ねてしまいます。
だから名義貸しが単体で摘発を受けるのはよほどの事案で、例えば売り上げが巨大になったグループだったりなどの特別な事案に限られています。
今回の桜井ののかさんの例も、最初の逮捕は時間外営業で、その捜査上で名義貸しが浮き彫りになり、結果として無許可営業で再逮捕になったのです。
重い名義貸しと軽い名義貸し?
これは言葉を選ぶ部分ですが、世の中を見渡すとナイトビジネスは名義貸しだらけです。
例えば許可名義人その人よりも影響力の大きな人がいるようなお店はどこにでもあるかもしれません。
親子でやっているようなスナックで、お母さんの方がお店に出ているけど、
母親の年齢を検討して、代わりに娘さんが許可名義人になっているなどの場合もありますよね。
これについては罰せられることはほぼ考えにくいです。娘さんだってお店で働いているわけですから。
ただし本当にヤバい名義貸しはあるところにはありますのでご注意ください。
まずは今回の桜井さんのように自分が許可取りたくないから従業員に許可をとらせる場合です。
この場合、まだ店長さんであれば話は分かりますが、
末端のパクられ要員さんに許可を取らせればさすがにひどいはなしでしょう。
また、本人が許可が取れない、あるいは取りたくないから全くの別人に許可を取ってもらい、
代わりに5万円上げるよなどの件も悪意だらけですので警察は見過ごしはしないでしょう。
さらに1~2店舗ならまだしも、店舗数が多くなり、売り上げや規模が大きくなると、
いくら店長に許可を取らせていたとしても名義貸しは大きな処罰要因になることもおおいです。
ばれるときはばれる
ここまで読むと、「なんだ、結構ちょろそうじゃないか」と思ったかもしれません。
パッと見、ばれないんだったらまあいいじゃん位に思った人は多いかもしれません。
しかしこれは経験上、ばれるときはばれますし、そうなったときのダメージは大きいので、決して警察を舐めないほうがいいです。
仮におもて上全く名前の出ていない人でも、本当の経営者はだれなのかは必ず押さえたうえで摘発はされます。
これは許可をうけたひと(つまり名義を貸した人)を調査すれば簡単にわかります。
・許可名義人であるにもかかわらずお金の流れがわからない
・お店のことをわかっていない
・なんとなく他人事の言葉が多い
・そもそも経営者としての覚悟、風格がない
こういう人であれば本当の経営者は別にいるなあと思うのが普通で、これは警察でなくても見抜く人は見抜きます。
では、名義を借りた人はどうでしょうか?
これもしっかり調べればわからないわけがありません。
例えばお店がもうかれば一番得をする人は誰でしょうか?
もちろん単なる出資者が儲かるときもありますが、普通は社長さんが一番得をするはずです。
ではなぜそのひとが名義人ではないのでしょうか?きっと何か理由があるからだと考えるのが普通ですよね。
逆にお店がもうからない場合にだれが補填をするのかでもわかりますが、これは泳がせておいても自然に廃業するだろうからという理由で放置されることも予想できます。
中には儲かるときだけ得して損することのない人もいるかもしれませんが、そんなうまい話は今どきありませんのでよほどのレアケースでしょう。
ましては相手はひとを疑ってなんぼの警察官です。
軽はずみな名義貸しは必ずばれると思いましょう。
最後にお知らせになりますが、行政書士 前場亮事務所は東京都内の風営法関連の手続きをしております。
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